新規会員募集中



<試乗記>スズキ・パレット/パレットSW

スムースに走れる新型CVT

 ダイハツ・タントに対抗すべく08年1月にスズキが出したパレットが、この度、ビッグマイナーチェンジならぬ、ビッグな一部改良を行った。大きく変わったのは、中身だ。

 最大の変更点は、トランスミッションが従来の4ATから世界初機構のCVTに変更されたこと(一部グレードは4ATのまま)。ワゴンRが搭載するCVTと違い、パレットのは副変速機構付きCVTというもので、前進2段の変速機構と従来のベルト式CVTを組み合わせたもの。副変速機はローギヤとハイギヤからなり、ローは発進時の加速性能を、ハイは巡航時の燃費向上をそれぞれ担う。ローとハイの切り替えタイミングは、まったく気づかないし、メーカーとしても気づかれないようセッティングしている。

 ただ、最高出力54psのNAエンジンは少々力不足。発進加速は新開発CVTのローギヤが頑張るのでもどかしくないが、速度を上げようとアクセルをガンガン踏んでも、加速はゆるやか。試乗車した「X」の車量は930kg(2WD)で、パワートレーンが同条件のワゴンR「FXリミテッド」より80kgも重い。試乗中はほとんど男二人の乗車だったが、これがもし4名フル乗車だとしたら、走りにあまり余裕はないだろう。ただしNAエンジンとCVTのこの組み合わせなら、2WDも4WDもともにエコカー減税50%の対象となる。これは宿敵タントに対し、大きなアドバンテージだ。

 今回の一部改良と同時に追加設定されたSWにも乗った。SWとは「スズキ・ワゴン」ではなく、「スーパー・ワゴン」の意味。顔はワゴンRスティングレー風だが、ヘッドライトとスケルトンのグリルはスティングレーとの共用パーツではなくSW専用。リヤランプは形状こそノーマルパレットと同じだが、プライバシーガラスとの連帯感を高めるためスモーク調にしてある。そのため、後ろ姿はスティングレー以上の迫力だ。

 SWにもNAエンジンは搭載されるが、試乗したのはターボの「TS」という最上級グレード。一部改良前のターボは60psの低圧仕様だったが、今回から64psの高圧仕様に変わった。TSの車重は960kg(2WD)でさらに重いが、ターボの助けがあるため加速したときのじれったさは感じない。とはいえ、ターボならではのスカッと爽快な加速かといえばそれほどでもない。やはりボディがちょっと重たいようだ。

 足まわりはノーマルと同じセッティングだが、違和感はなかった。スティングレーは「やすりぎ!」なほど硬めのハードサスだが、あの硬さをSWにも採用したら、せっかくの広々リヤシートが台無しだ。ドライバーだけでなくパッセンジャーのことも考えれば、乗り心地のよさには配慮すべき。だからSWのアシは、正解だと思う。

 運転しながら思ったのは、スティングレーで採用したパドルシフトがSWにもあればなぁ、ということだった。パコパコさせたところでパッセンジャーにデメリットはない。開発スタッフにそう告げたところ、「その意見はほかの人からも出ているので、今後の検討課題にします」とのことであった。
(猪俣 恭幸)

  • 写真1
  • 写真2
  • 写真3
掲載日:2009/10/16

この記事のカテゴリ:試乗記