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<試乗記>トヨタ・ランドクルーザープラド

基本性能の高さが光る、頼もしい相棒

 「ランドクルーザー」という優秀な兄貴がいるせいで、「プラド」というとどうしても二の次のイメージが強い。本当はランクルがほしいけど、予算的にムリだからプラドにしたとか、オフロードの性能はランクルほどではないでしょ、といった印象を抱いている人も多いのではないだろうか。

 しかしプラドとて、ランクルを名乗るにふさわしい実力を備えたクルマだ。新型プラドをオンロードだけでなくオフロードでも走らせてみて、そう確信することができた。パジェロとパジェロミニとの関係とはわけが違うのだ。

 プラドの横に立つと図体の大きさに圧倒される。全長4760mmは、それほど長いわけではない。しかし全幅は1885mmとかなり強烈。おまけに全高は1850mm(最上級グレードの「TZ-G」は1835mm)もあるので、免許取り立ての人なら尻込みしてしまうだろう。

 クルマに乗り込むには、ピラーに生える取っ手を掴んでよじ登るような態勢を強いられる。小さな子どもやお年寄りはちょっと厳しいかもしれない。スライドドアで立ったまま乗り降りできるミニバンのほうが遥かにフレンドリーといえる。ただ一旦シートに座ってしまえば、ミニバンでは到底味わうことのできない安心感に包まれる。それはまるで、自分の周りに屈強なボディガードが張り付いているような安心感だ。

 エンジンは2・7L直4と4L・V6で、ともにレギュラー仕様。2・7Lが163ps/25・1kg‐m、4Lが276ps/38・8kg‐m。その差は排気量で1・3L、パワーで113ps、トルクで13・7kg‐mと、丸々ヴィッツ1台分だ。でも乗り比べてみると、数値ほどの差は感じられない。4Lはアクセルを踏み込んだときのグワッと前に押し出す力は強いが、普通に走る分には2・7Lでも十分。維持費も含めて考えると、2・7Lのほうが現実的ともいえる。

 オンロードではちょっと気になったハンドルの軽さだが、オフロード(といっても相当なガレ場)ではむしろ好ましいと感じた。ハンドルが重かったら、岩を乗り越えながら走るようなシーンでは、微妙なステアリング操作ができないだろう。日本のユーザーのほとんどがオンロードをメインに走るとはいえ、プラドはやはりオフロードの走破性の高さを抜きに語ることはできない。試乗車は「マルチテレインセレクト」を筆頭に、数々の電子デバイスが備わる上級グレードだったが、それはドライバーの未熟な腕を補ってくれるものであって、電子デバイスがあるからプラドの走りがスゴイわけでは決してない。あくまでも基本性能が高いのだ。

 道とはいえないような道を、プラドはこともなげに突き進む。その頼もしいこと。プラドにもランクルの名を与えるトヨタの気持ちがわかる。開発者に尋ねたところ、国内外を含めランクルにかなうヨンクはないという。信頼性と耐久性の高さでは、もはやライバルは不在だそうだ。話を聞くだけではホンマかいなと疑ってしまうが、なんちゃってヨンクでは絶対走れないような道を走った後には、ホンマやと素直に認めるしかなかった。プラドを購入した際はぜひ、オフロード走行をお楽しみあれ。愛着が深まること確実です。

(猪俣恭幸)

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掲載日:2009/10/30

この記事のカテゴリ:試乗記