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<試乗記>スズキ・キザシ

心地よいドライブが楽しめるスズキの新フラッグシップ

 スズキの新しいフラッグシップとして昨秋、東京モーターショーの会場で突如お披露目されたのが「キザシ」である。コンセプトモデルは以前から何度か登場していたので、その市販化はある程度予想していたものの、会場での発表そして同日発売というのは、かなりサプライズな登場となった。

 ボディサイズは全長4650×全幅1820×1480㎜と堂々のDセグメント。国産車ではマークXやレガシィなどが同じようなクラスになるが、それらより全長は短く、全幅は広い。海外勢と比較するとCクラス、3シリーズよりも大きく、A4より少し小さいサイズである。

 ただキザシを実際に路上で見ると、それほど大きさは感じさせない。これはシャープに絞り込んだスタイルを採用したためだろう。SX4やエスクードにも共通したイメージのフロント周りと、メリハリの利いたリヤのスタイルが、スポーティな精悍さを感じさせる。特に凝った造形のリヤ周りはかなりの存在感だ。

 一方、室内は奇をてらわずオーソドックスにまとめた印象。ここはスイフト、SX4、エスクードと、最近のスズキの世界戦略車に共通するイメージだ。ただ細部は入念に仕上げてあり、質感は高い。240km/hまで刻まれたフルスケールのメーターには細かな目盛が振られるなど、こだわりを感じることができる。

 また本革仕様のパワーシートや、左右独立調整式のエアコンなど、装備が充実しているのも大きな特徴。ステアリングにはパドルシフトも備わり、上級スポーティセダンとして満足できる内容だ。ナビはオプションだが、その他の主要装備はすべて標準で搭載しているので、お買い得感も高い。

 エンジンはエスクードにも積まれている直4・2.4Lエンジンを搭載。ただしトルク重視のエスクードに対し、キザシはパワー重視で最高出力は22ps高められ、188psを発揮する。トランスミッションにはCVTを採用。駆動方式はFFと4WDの2タイプがあるが、今回はFF車を試乗した。

 全体の走りのバランスは非常に良好。剛性感の高いボディにしっかりした足回りという組み合わせで、高速域でのコーナリングにも不安がない。かっちりとしたシャープな挙動で、積極的にドライブを楽しみたくなる乗り味である。加速感や中高速域でのパワーも十分で、気持ちがいい。

 一方で、低速域では欧州車のような硬さを感じることもなく、適度なしなやかさでこちらも快適。ちょうど国産セダンと欧州セダンの中間にあるような印象である。両者のイイトコ取りといった感じだ。

 気になる点としては、渋滞の中での発進といった極低速域でのスタート時。エンジンの回転が先に上がり、速度がワンテンポ遅れて乗ってくるという、CVTならではの違和感が正直ある。しかし慣れてしまえば気にならないほどのレベル。全体の魅力を損なうほどのものではない。

 受注生産ということで、ショールームでも見かける機会が少なそうなキザシ。しかし、その実力は極めて高い。上級セダンユーザーは、忘れずにチェックしておきたいところだ。
(鞍智誉章)

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掲載日:2010/02/01

この記事のカテゴリ:試乗記