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<試乗記>ダイハツ・タント エグゼ

後席の快適さは軽自動車ナンバー1!

 昨年の東京モーターショーでお立ち台に展示されていたタントエグゼは、その後クリスマスイブに正式発売した。本家本元のタントとの違いは、ドアの開閉方法。本家は左のリアにスライドドアを採用するが、エグゼは左ではなく右のリアがスライド、なんてことはなく、両側ともヒンジ式だ。これにより車重はタントより若干軽くなった。NAエンジンのFFは、50%のエコカー減税対象である。

 違いはドアの開閉方法だけでなく、内外装のデザインまでまったく異なる。背が高いという共通点はあるものの、逆にいえば似ているのはそれくらい。あえてタントの名を付けなくてもよかったのではと思うほど似た部分は少ない。

 オトコ・タントはタントカスタムのことだが、エグゼはオトナ・タントだそうだ。ターゲットユーザーは、未婚・新婚、そして子離れ層の男女。軽といえばもっぱら女性をターゲットにするが、エグゼは、女性に偏ることなく男性にも受け入れられるクルマづくりを行った。大人向けのクルマであることを強調したいのか、プレスリリースには「上質」の言葉が多く並ぶ。そして派手系の「カスタム」に至っては、正々堂々「プレミアムサルーン」を主張する。まるでレクサスのようである。

 試乗したのは、エグゼのGとエグゼカスタムのRS。ともにイルミネーテッドツインコンソールが標準の最上級グレード。イルミネーテッド~のスイッチをオンにすると、センターコンソールの左右と後ろ、そして天井にブルーの淡い光が点灯する洒落た仕掛けだ。が、試乗したのは真っ昼間だったので、残念ながらムーディーな雰囲気を味わうことはできなかった。ディーラーオプションでは、イルミネーションの色を8色に変化させられるアイテムも用意されている。

 タントより軽くなったとはいえ、それでもエグゼのGで870kg(FF)、カスタムのRSで920kg(同)と軽の中では重量級。案の定、58psのNAエンジンでは走りがかったるい。特に発進加速。速度に乗せるためにアクセルペダルを踏む量が大きいと、エンジン音だけがどんどんデカくなる感じだ。ペダルを一気に踏むとエンジン回転が先にドンと上がってから加速を始めるCVTの悪癖も顔を覗かせる。ただし巡航速度に入れば、許容範囲の走りに変わる。それでも車内に入ってくる雑音は大きいままなので、後席の人と会話を楽しむにはちょっと厳しいかもしれない。

 64psのターボは加速性能については不満はない。といってもターボは、重いボディを不満なく走らせるためのお助けマン的にせっせと仕事をこなすだけ。コンパクトカー相手にブッチギリで勝てるほどの強烈な加速は期待できない。

 後席は、広さはもちろん、座り心地のよさは軽ナンバーワンといえる。タントの座面は真っ平らでお尻の落ち着きが悪く、「これで遠出はつらいゼよ!」だが、エグゼは前席よりむしろ後席のほうが快適。特にふくらはぎのフィット感が気持ちいい。この快適さは完全にVIPカーだ。もちろんヤン車という意味ではない。

(猪俣 恭幸)

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掲載日:2010/02/15

この記事のカテゴリ:試乗記