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<試乗記>ホンダ CR-Z

街中からワインディングまで気軽に楽しめる新世代スポーツ

 発売と同時に大人気となったCR-Z。やはりハイブリッド車でスポーツ、そのうえ価格も手頃というのが人気の理由だろう。もしCR-Zがハイブリッド車でなく、ただの2ドアスポーツ車というだけであったら、ここまで売れたとは思えない。

 さてこのCR-Z、乗車定員は4名だが実質的には二人乗りのモデルだ。室内は完全に前席重視。後席は頭上スペースもそうだが、何より足元空間がないに等しいので荷物置場と割り切った方がいい。そう考えると前席のすぐ後ろに後席があるのはとても便利。手を軽く後ろに伸ばすだけで荷物を置くことができるからだ。ちなみに後席は折りたたむことができ、その際はゴルフバッグ2個をラクに積めるほどの広い荷室スペースとなる。

 前席のシートポジションは低く、座ってみると足を前に投げ出すようなスタイルになる。しかしシートの形状も手伝って意外なほど乗り込みにくさはない。またシートは十分なホールド感を持ちながら座り心地も悪くなく、長時間のドライブでも短時間のチョイ乗りでも快適だ。

 視界は良好。前方はもちろん、サイドも見やすい。ただ後方は見える範囲が限られるので、ちょっと慣れが必要かも。バックモニターはぜひ装着したいアイテムである。

 室内全体の雰囲気は、さすがに上質、とまではいかないものの、かなり頑張っている。正直なところインサイトでは違和感があったのでCR-Zも不安があったのだが、見た目、触感ともに格段に向上している。立体感を強調したインパネ周りは好みが分かれそうだが、使い勝手の面では不満はない。特にCR-Zの大きなアピールポイントである3ドライブモードの切り替えボタンがメーター脇に配置されているのは使いやすい。この種の操作系はシフト脇に配置するものが多いが、メーター脇の方が視線の移動も少なく、操作のしやすさという点では上だろう。走りながらワンタッチで気軽に切り換えられる。

 走りの楽しさは抜群。1.5Lエンジン+モーターによる、静かだが力強い加速が心地よい。特に発進時からの厚いトルクはハイブリッド車ならではの走り味といえるだろう。ステアリングもなかなかシャープで、低い重心高と相まって特にコーナーリングが気持ちよい。リヤの追従性もよく、キビキビとしながら安定感のある走りをみせる。

 特筆すべきは3ドライブモード。とにかくメリハリがすごいのだ。モード切替のあるクルマは少なくないが、それと同一に考えていたら大間違い。ボタンの切換え一つで、まったく異なるクルマに変身してしまうのである。

 まず走りを楽しみたいならスポーツモード。とにかくトルク感が強烈だ。ステアリングも硬くなり、かなりハードな走りも楽しめる。一方、エコモードはひたすら燃費重視。アクセルをグッと踏み込んでもノンビリ進む。ステアリングも緩くなりスポーティ感は皆無。NAとターボの違い、などというレベルではなく、まったく違うクルマになってしまう。ノーマルモードはこの中間に位置するが、ややスポーツモード寄りに感じた。

 このやたらメリハリのある3モードのお陰で、CR-Zは守備範囲が広い。高速やワインディングから渋滞中まで、モードを選べば常に最適なクルマになるからだ。日常から非日常まで、瞬時に対応できること。これぞまさに新世代のスポーツの名にふさわしいものといえるだろう。

 ちなみにトランスミッションにはCVTと6速MTがあるが、相性としてはCVTの方が上に感じられた。モーターを最適に活用するよう制御されることで、バランスよくスポーツからエコまでCR-Zの潜在能力をフルに使いこなす感じだ。一方でスポーツモード優先ならやはりMTが楽しい。上のギヤでも低回転域からきちんと加速するので意外にズボラ運転もOKだ。
(鞍智誉章)

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掲載日:2010/04/16

この記事のカテゴリ:試乗記