新規会員募集中



<試乗記>ジャガー・XJ(6月発売予定)

見た目も走りも大きく変わったジャガーの新フラッグシップ

 フルモデルチェンジした(国内では6月発売予定)ジャガーのフラッグシップモデル、XJに試乗した。試乗車はスタンダードホイールベースの「プレミアムラグジュアリー」で、車両本体価格は1150万円。150万円安いジャスト1000万円の「ラグジュアリー」に対し、プライバシーガラス、リア電動ブラインド、ソフトタイプの本革シートとステアリングホイール、後席用シートヒーターなどが標準装備される。

 搭載エンジンは最高出力385psの5L・V8で、XJにはこのほか同スーパーチャージドエンジンも載る。スーパーチャージドには470ps仕様と510ps仕様があり、470psが選べるのはロングホイールベースだけ。510psは、スタンダードとロングのトップモデル「スーパースポーツ」に搭載される。もっとも高いロングのスーパースポーツは、1755万円也。

 「ジャガー」ブランドの上に君臨する「デイムラー」だが、新型XJベースには設定がなく、今後も登場する予定はないという。

 新型XJに先代の面影はない。フロントグリルとトランクリッドに装着されるジャガーのエンブレムを見なければ、ほとんどの人はジャガーとわからないはずだ。好き嫌いは別にしても、大胆なデザインは注目度が高い。街を走れば、歩行者、ドライバーを問わず、物珍しそうな目でクルマに視線を向ける。首都高を走ったときは、すごい勢いで後ろからやってきたセルシオが、XJに追いつくや、十分に車間距離を空けた位置で大人しくなった。直線が続く湾岸線の追い越しレーンでは、前を行く軽のワンボックスが弾かれたように左に避けた。デザインに威圧感があるようだ。

 全長は5mを超えるが、窓の面積が小さいせいか、サイズの大きさを意識することはない。ただ後方視界は悪く、リヤウインドーの傾斜がきついため、ルームミラーに映る後ろのクルマが歪んでいる。文字でいえば平体(ひらたい)がかかった状態で、クルマが横に広がって見える。

 車重は1850kgで、サイズを考えれば軽い。おそらくアルミボディが効いているのだろう。当然走りも軽快で、アクセルを踏めばすごい勢いで加速する。エンジン音の車内への侵入はごくわずかだが、サウンドと呼べるほどいい音ではない。というか、エンジン音はスポーティさの主張が強すぎるため、XJのキャラクターに合っていない。

 パドルシフトがハンドルの裏に隠れているのは、XJにパドルはいらんだろう、と感じる、昔ながらのXJ乗りへの配慮なのだろうか。だがドライブコントロールでダイナミックモードを選択すると、戦闘モードONのサインように、全面液晶パネルのメーターの一部が赤に変わる。さらにダイヤル式のシフトセレクトをDからS(スポーツ)にすると、ギヤを示す数字がデカデカ表示に。走りはスポーツカーのように切れ味鋭くなる。XJにこんなアグレッシブな走りは必要かと疑問に思うが、クルマとの一体感がより高まるので、いつしか自制心は消え、しだいに闘争心が沸き出てくる。つまりドライバーの気持ちは、新型XJのデザインのようにオラオラ系に変貌するのである。乗れば自然とジェントルマンになれた、かつてのXJが懐かしい。
(猪俣 恭幸)

  • 写真1
  • 写真2
  • 写真3
掲載日:2010/04/19

この記事のカテゴリ:試乗記