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<試乗記>プジョー・3008

心地よく走れる新型クロスオーバー

 5ドアの308に、ゼロをひとつ追加した3008は、ワゴンのような積載能力とSUVのようなタフさ、そしてラグジュアリーセダンのような高級感と快適性を併せ持つ新ジャンルのクルマだ。

 3008のようにひとつのカテゴリーに属すことなく、各カテゴリーのいいとこ取りをしたクルマのことをクロスオーバーという。いまヨーロッパで大ブレイク中のカテゴリーだ。日本車でいえば日産キャッシュカイ(日本名デュアリス)もこのジャンルの一員。クロスオーバーと聞くと、なんとなく4駆をイメージしてしまうが、クロスというのは駆動輪のことではくカテゴリーのこと。という3008も4WDではなくFFである。

 全幅1835mm、全高1635mmのサイズにより、見た目はかなり大柄。しかし全長は4365mmで意外と短い。この全長は偶然にもデュアリス・クロスライダーと同じ。高い全高に合わせ、着座位置も高く設定されているので、乗り降りは楽ちんだ。

 外観はインパクトのあるデザインだが、インテリアはさらに衝撃的。運転席と助手席を分断するセンターコンソールは高く、しかもドライバーを包み込むように設計されている。見た瞬間、トヨタ・スープラを思い出した。ステアリングホイールは握りが太くてスポーツカー的であり、と同時にSUVのタフさも感じさせる。シフトレバーは手首の返しだけで変速可能なベストな高さに生えている。

 エンジンをかけると、メーターフードの奥から透明プラスチックがグイーンと起き上がってきた。なにかというと、そこにスピードメーターがデジタル表示される。クルーズコントロールの設定速度や車間距離警告などの情報を表示させることも可能だ。視認性はバツグンにいいが、起きてこないようにもできる。

 搭載エンジンは1.6リッターの直4DOHCにツインターボを装着。最高出力156ps、最大トルク24・5kg‐mは、参考までに比較すると2リッターNAのデュアリスより19psと4・1kg‐mもパワフル。よってこのテンロクターボは、1560kgのボディをものともせず軽快に走らせる。発進加速はよく、アクセルを踏み込めばターボが即座に仕事を始め、みるみるスピードは上がっていく。加速性能に一切の不満はない。

 乗り心地は、硬くもなく柔らかくもなくだが、ややコツコツはしていた。が、決して乗り心地が犠牲になっているわけではない。車高は高いが、コーナーでの傾きはよく抑えられているので、走り屋の聖地、箱根ターンパイクをいい速度で走ってもドライバーを不安にさせるような挙動は見せなかった。幸いなことにスピン防止のESPのお世話になることもなかった。

 全面ガラス張りのルーフは標準装備。前席に座っているとありがたみはほとんどないが、後席に移動すれば感動的だ。意識して顔を上げなくても自然と青天井が視界に入ってくるので、空中ドライブが楽しめる。足元のスペースは許容範囲ギリギリだが、上空サプライズのガラスルーフのおかげで後席の開放感は高く、また実際の居住性も悪くない。前席と後席でまったく違った雰囲気が楽しめる3008、車内もしっかりクロスオーバーしている。

(猪俣 恭幸)

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掲載日:2010/08/05

この記事のカテゴリ:試乗記