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<試乗記>日産・マーチ

気持ちよく使えるアイドリングストップ

 デザインの古さを感じさせず、まだまだ現役続行してもよさそうだった2代目マーチだが、カタログ記載の燃費の悪さ(1・2リッターの4ATでリッター19km)により、エコに敏感な消費者からは検討段階の俎上にも乗せてもらえなくなっていたという。そこで3代目となるマーチは燃費性能のよさを全面に出し、キャッチコピーもわかりやすい「エコマーチ」になった。

 10・15モード燃費のもっともいいグレードは、アイドリングストップ機能が標準装備の「12G」と「12X」で、リッター26km。アイドルストップなしの「12S」は同24km。燃費性能のよさは、トランスミッションを全車CVTにしたことや車両重量の軽量化も貢献している。FFはすべて1トン以下のため、重量税も安くなる。4WDもFFと同じエンジンを搭載するが、アイドルストップはつかず、車重は1トンを超える。しかしそれでもカタログ燃費はリッター20kmの大台に乗った。

 試乗したのは、FFの最上級グレード「12G」。インパネ周りのデザインは、先代よりおもちゃっぽさが軽減された。ダッシュボードの奥行きもあるので、それほど小さいクルマに乗っているという印象も受けない。サイドウインドーグラフィックスは相変わらず分度器のような形で先代の面影を色濃く残しているが、ルーフが後端までしっかり伸びているので後席頭上空間も広々している。足元のスペースも窮屈に感じるほど狭くはない。これなら一家に一台のクルマとしても十分いける。

 エンジンは従来の1・2リッターとは別モノで、4気筒から3気筒に変わった。知らずに乗れば、というか知って乗っても、1気筒少ないのが気になることはなかった。音も振動も4気筒と変わらない。最高出力は79psで、先代4気筒の1・2リッターより11psのダウンだ。一般道だけでなく首都高速も走ってみたが、加速性能は悪くないので、バックミラーを気にすることなく追い越し車線も走れる。

 意外といっては失礼だが、乗り心地もいい。サスペンションはしなやかに動くので、荒れた路面上を通過する際も乗員に不快な振動を与えない。マーチをハンドルを握る多くの女性ドライバーの好みを反映させたセッティングなのだろう、ハンドルは異様に軽い。この軽いハンドルとソフトなサスとのマッチングは、カーブをスピード上げて曲がるような走り方には適していない。

 アイドリングストップは、信号で止まる度に必ずといっていいほど効く。エアコンを作動させていてもエコ優先とばかりにエンジンは確実にストップ。アイドルストップのタイミングは、早すぎず、遅すぎずの絶妙な瞬間を狙ったという。再始動のタイミングも抜群で、もどかしさを感じることはない。またブレーキペダルを踏んだ状態のままでも、ハンドルをちょっと動かすとエンジンは再始動する仕掛け。これは右折する際、ドライバーは足より先に手を動かすためだという。ドライバーの意思にピタリと合った動作なので、アイドルストップのオフボタンは不要に思った。

 カタログ燃費が格段によくなった新型マーチ。試乗すればアイドリングストップも体感できるだろうから、購入を検討している人のハートをグッと掴むこともできそうだ。
(猪俣 恭幸)

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掲載日:2010/10/19

この記事のカテゴリ:試乗記