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<試乗記>スズキ・スイフト

安心して飛ばせる一級の足回り

 ビッグマイナーチェンジかと思うようなフルモデルチェンジを行った新型スイフト。これが2代目と勘違いしている人もいるようだが、軽自動車のKeiにそっくりな外観をしていたのが初代なので、通算3代目ということになる。2代目と見た目がそっくりなのは、2代目のデザインが好評だったから。とはいうものの、もうちょっと変えてもよかったのではと言いたくなるほど、2代目と瓜ふたつだ。スズキの社員も、暗がりだと見分けがつかない、と冗談とも思えない発言をしていた。

 5ナンバーボディであることに変わりはないが、全長と全幅は2代目より大きくなったので、間近で見るとかなり立派に見える。ボディサイズの拡大により、室内もだいぶ広くなった。2代目は運転席に座っても「小っちゃ!」と感じたが、新型では狭さはほとんど感じない。車内の広さ向上だけでなく、インパネのデザインと質感もかなりよくなった。目隠しをして乗せられたら、目を開けた瞬間キザシの車内と間違えてしまいそうなほどだ。スピードメーターのマックス表示は200km/hまで刻まれる。SX4もエスクードもそうだが、スズキのクルマは、180までの掟を破ることで(もちろん違法ではない)、世界戦略車であることをアピールする。

 車内の居心地がいいのは、シートのクッション性がよくサイズも大ぶりなためだ。コストダウンすることにかけては天下一品のスズキだが、シートはお金をかけている感が伝わってくる。後席の居住性は先代に比べると、だいぶ広くなった。足元、頭上空間ともに余裕が増した。ただボディのウエストラインが高いのとウインドーの天地が狭いため、圧迫感はある。コンパクトカーなので、前席優先と割り切ったほうがよさそうだ。

 試乗車は最上級グレードの「XS」の2WDで、1・2リッター4気筒エンジンにCVTの組み合わせ。XSにはパドルシフトが付いていて、7速マニュアルモードを楽しむことができる。でもパドルの操作性はいまいち。パドルをパコパコやるというより、ステアリングスポークの裏側を直接押しているような味気ない操作感なので、レーシーな気分は高まらない。ただDレンジの位置でもパドルを一回押せば、マニュアルモードに切り換わるのでエンジンブレーキがほしいときは便利。3秒間パドルを操作しないと、Dモードに自動復帰する。

 91psの最高出力は、同じ1・2リッターの排気量を持つ日産マーチより12psもパワフル。試乗ステージは箱根の山道だったが、非力な印象はまったく受けなかった。おそらく車重990kgという身軽さもパワー不足を感じさせない要因だろう。そして軽さは燃費アップにも効く。

 もっとも印象に残ったのは、サスペンションの動きがとてもしなやかなことだ。どんなにうねりのある路面でもタイヤの接地性が失われないので、安心して飛ばすことができる。コーナーではサスペンションが柔軟に動いているのがわかるが、ボディはほとんどロールしない。脚を固めてロールを抑えるやり方ではないので、乗り心地も犠牲になっていない。これなら石畳の道を走っても、快適さは失われないだろう。さすが、スズキが誇るヨーロピアンな小型車である。

(猪俣 恭幸)

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掲載日:2010/10/19

この記事のカテゴリ:試乗記