新規会員募集中



<試乗記>スズキ・ワゴンR

もたつき感なく再始動

 8月下旬にワゴンRが一部改良を実施し、アイドリングストップ機能を搭載した。といっても全グレードにではなく、価格的には中間に位置する「FXアイドリングストップ」だけ。グレード名にそのものズバリの「アイドリングストップ」の名称を付けてしまうところが実用車を中心に扱うスズキらしい。それにマツダの「iストップ」や日産マーチの「ピュアドライブ」よりわかりやすい。


 最廉価グレードにあたる「FX」との価格差は、12・6万円。ただし「FX」が4AT(5MTもあり)なのに対し「FXアイドリングストップ」はCVT。しかも今回のマイナーチェンジで、パレットが先行搭載していた副変速機構付きの最新型CVTを採用した。なお最上級グレードの「FXリミテッド」には4ATとCVTがあり、価格差は3万1500円。トランスミッションの違いによる価格差を差し引けば、アイドリングストップ代は9万4500円ということになる。10・15モード燃費は、アイドルストップなしより3km/Lよい25・0km/Lを達成している。この数値は、現時点での軽ワゴン車トップでもある。

 アクセラやマーチと違い、ワゴンRには、アイドルストップ機能付き車であることを示すエンブレムの類は装着されない。オーナーのみぞ知る、アイドルストップ車である。エンジンを始動し水温計の針が上がってもアイドルストップはしない。ずっとアイドリング状態だ。アイドルストップさせるには、車速を一旦5km/h以上出す必要がある。そのほかバッテリーの充電状況やシフトポジションがDレンジに入っているかなどいくつかの条件はあるが、一度走り出さない限りアイドルストップはしてくれない。

 アイドルストップ状態になると、メーター内に「ENG A-STOP」の小さい文字がグリーンに点灯。エアコンの風はそのまま出続けるが、コンプレッサーが止まるため冷たい風から生暖かい風に変わる。夏の猛暑に耐えられなければ、インパネ右に備わるアイドルストップのボタンをオフにすればいい。エンジン再始動はブレーキペダルから足を離すだけ。もたつき感はないので、イラッとすることはない。ただマーチのアイドルストップと違って、ハンドルを動かしただけではエンジンは再始動しない。このあたりのセッティングは、メーカーの考え方によるものらしい。

 全グレードにアイドリングストップを搭載しなかった理由は、ダイハツ・ミラのアイドルストップ車の売れ行きがいまいちだからだ。軽自動車を買うユーザーが、アイドリングストップ機能が付いていることをどれだけ重視するかはいまのところ未知数。スズキ初のアイドルストップ車なだけに、どの程度支持されるのか様子を見たいということなのだろう。だが「FXアイドリングストップ」の売れ行き次第ではワゴンR全車、さらにはスズキのほかの軽自動車にもアイドルストップ車が導入されることになるはず。

 毎日のアシとして、街乗り中心で使われることの多い軽自動車なら、アイドリングストップ機能のありがたさは十分理解されるはず。しかも最量販モデルのワゴンRに搭載されたのだから、市場への浸透度はアッという間だろう。

(猪俣 恭幸)

  • 写真1
  • 写真2
掲載日:2010/10/19

この記事のカテゴリ:試乗記