新規会員募集中



<試乗記>三菱・パジェロ(クリーンディーゼル)

クロカンらしい魅力あるディーゼル

 パジェロが搭載しているディーゼルエンジンが、ポスト新長期規制に適合したクリーンディーゼルに換装された。正式発表は9月2日のことで、前日の9月1日をもって、ポスト新長期規制に適合していないディーゼルエンジン車の販売はできなくなったという背景がある。クリーンディーゼル化により、購入時に支払う自動車取得税と同重量税は全額免税となる。最上級グレード「スーパーエクシード・ロング」の場合、27万円以上も安く買える計算だ。ただ残念なのは、9月29日をもってクリーンディーゼル購入補助金が予算額を超えたため、補助を受けられなくなった。

 試乗したのは、免税の例に挙げた「スーパーエクシード・ロング」。ディーゼルならではのガラガラとしたエンジン音はアイドリング状態でも聞こえてくる。エクストレイルのディーゼルエンジンは、ガソリン車と間違えそうなほど静かだが、パジェロのディーゼルはディーゼルとしての主張がはっきりしている。といっても、小型トラックのディーゼルエンジンほどやかましくはないので、エンジンを止めたくなるほど耳障りではない。

 エキゾーストパイプから出る匂いに関しては、皆無だ。つまり無臭。クルマの後ろに回っても息を止めたくなるようなイヤな匂いは一切しない。というか、エキゾーストパイプの出口に鼻を近づけてクンクンしてみたが、顔を背けたくなるような匂いはまったくしなかった。もちろん「クリーン」を名乗るにふさわしく、黒煙も一切出ない。

 ヨッコラショと運転席に乗り込んで、いざ出発。アクセルを踏むとディーゼル特有のガラガラ音はアイドリング状態よりさらに大きくなる。静粛性を求める人にはお薦めできるクルマではないが、かつてのクロカン4駆乗りには懐かしいサウンドとして響くはずだ。3・8リッターのガソリンエンジンの最大トルクは34・5kg‐m/2750回転だが、3・2リッターのクリーンディーゼルはわずか2000回転で45kg‐mの最大トルクを発揮する。街乗りではアクセルに軽く足を載せているだけで十分こと足りる。右足にちょっと力を入れれば、猛烈なトルクがシートバックに背中を押し付ける。〝クーン〟というターボチャージャーの音も耳に心地いい。

 信号待ちで止まったとき、こういうクルマにこそアイドリングストップ機構が付いていればいいのにと思った。CO2の排出量はガソリンエンジンより少ないとはいえ、エンジン音が大きい分、環境への配慮が欠けていると周りから思われたらイヤだなという思いが募る。実際、環境への負荷は少ないから問題ないのだが、ドライバーが抱く心理的負担はあるような気がする。音は多少なりとも気になるが、貧乏ゆすりのようなディーゼルの悪癖である振動はない。

 三菱自動車によると、クリーンディーゼル搭載車はパワーと低コストを求める人向けのクルマだという。ガソリン3・8リッターはパワーと静粛性、ガソリン3リッターは安さと静粛性を求める人、と棲み分けができている。試乗車の10・15モード燃費は10・2km/L。パジェロの中でカタログ燃費がリッター10kmを超えるのは、クリーンディーゼル搭載車だけだ。

(猪俣 恭幸)

  • 写真1
  • 写真2
  • 写真3
掲載日:2010/10/19

この記事のカテゴリ:試乗記