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<試乗記>アルファロメオ・ミトTCT

ヤンチャな走りが楽しい

 ミトに6速乾式デュアルクラッチ機構のTCTを搭載したモデルがラインナップに加わった。TCTとはツイン・クラッチ・テクノロジーの頭文字を取ったもので、いわゆる2ペダルMT。オートマ免許でも運転できる。グレード構成は16インチタイヤの「スプリント(288万円)」と17インチタイヤの「コンペティツィオーネ(305万円)」で、ともに右ハンドルのみの設定。6速MTも健在で、「クアドリフォリオ・ヴェルデ(328万円)」としてラインナップの頂点に君臨する。

 ファニーフェイスのミトだが、車内は比較的スパルタンなデザインで、かわいい雰囲気はどこにも漂っていない。ダッシュボードにはカーボン調の模様を施すことでスポーツマインドを刺激。ステアリングホイールのグリップ部も太く、しかも10時10分の位置は親指をホールドできるようピョコッと飛び出ている。チルトステアリングは付いているが調整量が足りないため、一番下の位置にしてもややアップライトのステアリング位置になるのが惜しい。シートリフターを調整して着座位置を上げれば問題は解決するのだが、それだと地面に近いドラポジを好む私にはベストポジションにならない。仕方ないので着座位置を優先し、ハンドルはアップライトの状態で走ることにする。

 まずは素の状態を知るために、オートマモードで走行。dnaスイッチもノーマルのnのままだ。トルコンATと違って、意識してアクセルを踏み込まないとクルマは動き出さない。だが一旦走り出してしまえば2ペダルMTであることをあまり意識することはない。走行中は常に次のギヤがスタンバイしているので、変速のタイミングも素早く不快なショックは伴わない。Dレンジで走行中でも、パドルを1回パコンと操作するとマニュアルモードに変わる。が、数秒で再びオートモードに復帰。普段はDレンジで走り、減速するときだけエンブレを効かせるためにパドルを使うと運転しやすいだろう。

 試乗ステージが箱根のワインディングロードだったので、シフトレバーを左に倒してMTモードも試してみる。レバーを前後に動かしてのMT操作も可能だが、せっかくなのでパドルによる変速を選ぶ。黒いパドルはあまり目立たず、しかも安いプラスチックでできている。イタリアの名門アルファには大変失礼だが、ここだけはなんだかワゴンRみたいだ。

 MTモードに合わせ、dnaスイッチをダイナミックモードのdに変更。するとアクセルレスポンスが劇的に変わる。それもそのはず、nとa(オールウェザー)モードでは19・4kg‐m/4500回転の最大トルクが、dモードではわずか1750回転で23・5kg‐mを発揮するセッティングに変化するのだから。減速時にシフトダウンすると、派手なブリッピング音を発しながらエンブレがかかる。かわいい外観からは想像もつかないやんちゃな走りだ。

 ミトTCTには、なんとアイドリングストップ機構が備わる。野太い排気音を撒き散らしながら走っていたのがウソのように、信号待ちでは車内がシーンと静まりかえる。それはまるで、熱い走りに対する罪滅ぼしのようでドライバーの気も少しは休まる。

(猪俣 恭幸)

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掲載日:2010/10/19

この記事のカテゴリ:試乗記