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<試乗記>フィアット・アバルト500C

風を浴びながら爽快に元気よくドライブ!

 アバルト500に電動ソフトトップの「500C」が追加された。といってもフルオープンモデルではなく、ピラーの部分を残して屋根とリアウインドーだけが開くキャンバストップだ。車名に「C」が付くのはそのため。トップの開閉は電動で、走行中でも開け閉めできる。だから走行中に突然雨が降ってきても、まったく慌てる心配がない。

 ハードトップのアバルト500の車両本体価格は299万円だが、アバルト500Cは大台突破の339万円。プラス40万円はキャンバストップ代だけでなく、ATモード付き5速シーケンシャルトランスミッションも含まれる。機構的にはMTだが、ペダルはアクセルとブレーキの2つなので、オートマ免許でも運転できる。運転そのものはイージーだが一見さんを驚かせるのが、シフトレバーが存在しないことだ。本来レバーがあるはずの位置には、4つのボタンが並んでいる。知らずに乗れば、ゲッ! と思わず声が出る。各ボタンにはそれぞれ「1」「N」「R」「A/M」と書かれているので、冷静に考えればどのボタンがなにを示しているかはすぐわかる。

 エンジンを始動するとギアはN(ニュートラル)に入っているので1(速)のボタンを押して走り出す。この状態ではA(オート)モードなので、速度が上がればギアは勝手にシフトアップ。シフトアップ時には大きな息継ぎが入り、アクセルを踏んでいても加速しない。そのときはアクセルから足を離すのがコツで、変速完了後に再びアクセルを踏むとスムーズに走れる。アクセルを踏みっぱなしだと、ギアがつながったときのショックが大きく、かなり不快。

 オートモードで走行中「A/M」のボタンを押すと、今度はM(マニュアル)モードになる。と同時に、ダッシュボードの上にキノコのように生えているブースト計の中央に「SPORT」の文字が点灯。変速はパドルにて行う。ボディが小振りなのでノーマルモードでも十分速いが、スポーツモードになるとエンジンレスポンスがさらにシャープになり加速性能もアップする。搭載する1・4リッターのターボエンジンは、ハードトップモデルより5psパワフルな140psを発揮。最大トルクは同一で18・4kg‐mとなる。ハイギアードのセッティングになっているようで、1速で引っ張ってもかなり息の長い加速をみせる。鉄砲玉のような元気のいい走りとは裏腹に乗り心地はいい。同じアバルトの兄貴分、プント・エヴォよりも快適に感じた。

 キャンバストップはフルオープンより密閉性が高いので、閉めて走れば静粛性はハードトップと変わらない。唯一、トンネルを走行中に天井からかすかに外の音が侵入してくることがあった程度だ。ただし開放感の面では、やはりフルオープンにはかなわない。サイドウインドーを全開にしても窓枠は残っているので、ドライバーが感じる開放感はそれほどでもない。ただし風は全身に浴びるので、爽快感は味わえる。難点はトップを全開にすると後方視界が遮られること。ミラーの半分から上に映るのは空だけで、後続車の存在はたたまれた幌が邪魔してまったく見えない。当局のご厄介にならないためにも、オープンのときはのんびり走ったほうがよさそうだ。

(猪俣 恭幸)

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掲載日:2010/10/20

この記事のカテゴリ:試乗記